はみだし雑記帳

「旅の雑記帳」に書ききれなかった、旅先や外国人との会話で拾った小ネタ、旅に関する雑感あれこれ。

選曲のセンス

もうずいぶん前のことになるが、ワーキングホリデーでカナダのバンフという町に住んでいたことがある。
小さいけれど、カナディアン・ロッキー観光の拠点ともなる町で、滞在中は毎週のように湖に行ったり山に行ったり、カナダの自然を満喫していた。

そんなバンフで、友達数人と山へハイキングに出かけたある日のこと。

このあたりの山は、クマの居住地である。
クマのテリトリーである山を歩くときには、何かしら音を立てて、人間がお邪魔させていただいていることをクマに知らせることが非常に大切だ。
熊よけの鈴を持っていなかった私たちは、歌を歌って歩こうということになった。

と、一緒にいたカナダ人の男の子が私に言った。
「ねぇ、なんか日本語の歌、歌ってよ」
「よし、日本語の歌ね」
私は快く了解し、歌い始めた。

 ♪ある~日 森の中~ クマさんに 出会ぁった

明るく軽快な私の歌声に、カナダ人の彼はノリノリで私に聞いてきた。
「いいねぇ、いいねぇ。それ、どんな歌?」
私は元気よく答えた。
「森の中でクマに出会う歌!」

その後、私が歌の係から外されたのは言うまでもない。

カウチンセーターの見分け方

ワーホリで働いていたカナダのお土産屋さんで知った、カウチンセーター豆知識。

カウチンセーターとは、バンクーバーアイランドの先住民によって編まれたセーターであることは広く知られているが、それにある種の認定証のようなものがあることは、あまり知られていない。
機械編みではなく、先住民族の手編みのものを間違いなく買いたい場合は、まずこのシリアルナンバー付きの公認タグを見るとよい。

ただし先住民族の手編みのものすべてにタグがついているわけではなく、逆に公認タグがついているものでも、伝統手法とはちょっと違った画期的なセーターもある。
そこで、伝統的なカウチンの特徴をちょっと紹介しておこう。

カウチンの色は羊の色
先住民族は羊から刈り取った毛をそのまま毛糸にし、編む。染色、漂白は一切しない。よってカウチンセーターは、白、茶、黒など、自然の羊の色だけである。赤い羊や青い羊がいない限り、赤や青の毛糸で編まれることはない。

毛糸は手紡ぎ
最近は機械紡ぎも多いと思うが、伝統的には手紡ぎの毛糸を使う。手で紡いだ毛糸は太さが均一でないことも多いが、そこがカウチンセーターの味わいでもある。

自然がモチーフ
カウチンセーターは編みこまれている模様が印象的だが、これらの模様は古くから先住民の周囲にあった自然をモチーフとしたものが多い。鷲やシャチ、雪の結晶などが多いようで、船など、先住民の生活に新たに入ってきたものは伝統模様とはいえないそう。
同様に、カナダの象徴であるメープルリーフも、比較的新しい模様であるらしい。

ポケットはない
伝統的な編み方は実にシンプルな筒編み。余計なものをつけることはなく、ポケットをつけるなんていうこともしないらしい。

ボタンもない
前述の通り、伝統的なカウチンセーターには余計なものはつけないので、当然ボタンもない。かわりにファスナーがついている
ボタンは余計でファスナーは余計じゃないのかと言うと、実は余計なものだ。だから本来のカウチンセーターには、ボタンもファスナーもない。
前述したようにカウチンセーターは筒編みなので、本来はプルオーバーなのだ。ただ、それでは着にくいので、今ではほとんどのものにファスナーがつけられている。
ではどうやって筒編みのセーターにファスナーをつけるかというと、答えは簡単。編みあがったセーターの前をハサミでざくざく切って、ファスナーを縫い付けるのだ。
カウチンセーターをよく見ると、ファスナー部分の毛糸が切られたようになっているものがある。一見、単にきちんと始末されていないだけのようにも見えるが、実はこれこそが伝統的な手法で編まれたものの特徴なのだ。

以上、思い当たるカウチンセーターの特徴をあげてみた。
もちろん、伝統手法によるもの以外はニセモノだとかダメだとかいうことでは全くない。それは好みで決めればいいこと。
同様に、編む人の好みや発想もあるので、公認のカウチンセーターでも車の模様が編みこまれていることもあるかもしれないし、ポケットがついていることもあるかもしれない。
ただ、主な特徴を知っていれば、選ぶときの基準ぐらいにはなるかもね。

ニッポンは難しい

旅先で、日本に行ったことがあるというアメリカ人に会った。
2週間程度という短い時間だったようだが、日本での滞在は素晴らしかったと、彼は日本の思い出を興奮気味に話してくれた。

「トーキョーはデカくてびっくりした。それから友達に会いにフクオカにも行って…」
「へぇ、東京だけじゃなくて福岡にも行ったんだ。」
「他にも行ったよ、オーサカ、キョート、トヤマ…」
「富山?」
「うん、トヤマにも行った」

これまた珍しい。
狭いニッポンと言っても結構広い。2週間程度の旅行の中では、訪れる場所も限られてくる。こう言ってはなんだが、その限られた中で富山を選択するなんて、なんかよほどの理由でもあったのだろうか?
気になった私は聞いてみた。

「富山に行くなんて珍しいね。友達でもいるの?」
「自分も行く気はなかったんだけどね、間違って行っちゃったんだ」

はぁっ?

「間違えたって…どうして?」
「ボクにもわからない。フクオカに行く電車に乗ったつもりが、着いたらトヤマだったんだ」

何だそれ??
福岡行くのに、間違えても富山に行くってことはないと思うのだが…どう間違えたら富山になるのか??

後で知ったことだが、実は富山県にも「福岡」という地名があるそうだ。
もしかしたら、パソコンか何かで福岡への路線を調べたつもりが、富山の「福岡」へ行く路線になっていたのかもしれない。
それにしたって見事な間違えっぷりだけど。

彼にはこう言っておいた。
「それは貴重な経験だね。普通、そんな間違い、やろうと思ってもなかなかできないもんだよ!」

ニホンツウなので

旅先で、日本に行ったことがあるという旅行者と日本の話で盛り上がることがよくある。

その日グルジアで会った男性もそうだった。
彼は私が日本人と見るや、興味深そうに声をかけてきた。
「日本人でしょ?日本のどこに住んでいるの?」
「私は北海道の札幌に住んでるの。知ってる?」
答えた私に、彼は残念そうに言った。
「ホッカイドー?うーん、わからないなぁ。それはトーキョーの近く?」
「北海道はね、日本の一番北にある島。本州とは別の島で、東京からは飛行機で1時間半ぐらいかな」
「そうなんだ。日本には行ったことがあるんだけど、そこには行かなかったなぁ。」

彼は数年前に日本に行ったことがあるそうで、一人で行ったのか、それとも今横にいる彼女とは別の人と行ったのかは知らないが、彼女と知り合う前のことらしかった。

「へぇー、日本に行ったことあるんだ。日本のどこに行ったの?」
「大体トーキョーだけどね、シブヤ、アキハバラ、イケブクロ、サクラ…」
「サクラ???」
「うん、サクラも行ったよ」

サクラ…?
確かに「佐倉」と書いて「サクラ」と発音する地名はあるが、でもそれは外国人旅行者には超マイナーな土地だぞ。
間違って富山に行くことはあれど、間違っても佐倉に行くことはないと思うんだが…。

「ホントにサクラ?確かにそういう場所はあるけど、でもわざわざ旅行者が行くような場所じゃないと思うんだけど…」
いぶかしげな私に、彼はせせら笑って言う。
「いやいや、キミはホッカイドーに住んでるから知らないんだよ」

オイ、コラ。アンタ、喧嘩売ってんの?(怒

彼女の前で、最北の島に住む日本人よりも日本を知ってるんだとでも言わんばかりに、彼は続ける。
「トーキョーはね、エリアごとに色んな街があるんだよ。シブヤは若者の街、アキハバラは電気の街、っていう風にね。」

そんなモン、アンタに言われんでもわかっとるわいっ!!北海道民ナメとんのか??

「で、サクラはオールドタウンなんだよ」

…オールドタウン?

「そう、サクラはトーキョーの中でも古い町並みが残る、トラディショナルタウンなんだ。」
「…そこって…もしかして川の近く?」
「う~ん、そうだったかな」
「…で、両脇に土産物屋がずらっと並ぶ通りがあって、その奥にお寺があって、大きな提灯があって…?」
「そうそう、そうだったよ!」

それ、「アサクサ」だろ!

それはニッポンじゃない

旅先で会ったアメリカ人の男の子との会話。
「キミ、日本人?どこに住んでるの?」
「サッポロ」
「へぇ~、キミ、ブラジルに住んでるんだ」

それは「サンパウロ」(笑

「アメリカ」のイミは?

旅先で、イスラエル人カップルに会った。
日本人に会ったら聞いてみたいと思っていたことがある、と、彼らは何やら紙に書き、私に見せた。
「コレ、何て読む?」

紙には、カタカナで「アメリカ」と書かれていた。

「へぇー、日本語書けるんだ。これ日本語で America って意味だよ。『アメリカ』って発音するの。」

そう言うと、二人は顔を見合わせてゲラゲラ笑い出した。
聞けば、「アメリカ」というカタカナは、ヘブライ語で「ヘンな人」とか「イッちゃってる人」という意味の単語そのものなんだそうだ。
日本語とは逆に右から左に読むらしいが、「アメリカ」とカタカナで書いたものを見れば、イスラエル人にはそう理解できるらしい。

彼らは続ける。
「まんざらかけ離れた意味でもないよね~」

こらこら、そういうこと言わないの!(笑